登録支援機関

登録支援機関の選び方|介護施設が見るべき5つの視点

「登録支援機関に委託すれば、あとはお任せでいい」。そう説明を受けて、見積書を並べているところかもしれません。金額は各社ばらばら。どこも「手厚くサポート」と書いてある。

私たちは、愛媛県松山市でグループホーム・デイサービス・居宅介護支援を運営する株式会社大将が母体の、介護分野に特化した登録支援機関です(登録番号 23登-008978)。委託を受ける側であると同時に、自分たちも同じ介護の現場を回しています。

この記事では、法令が定める最低ラインと、そこから先の差 を整理します。それがわかれば、見積書の「手厚い」が何を指すのかを読み解けます。

登録支援機関は何を引き受ける相手か

登録支援機関とは、特定技能1号の外国人財への支援を、受入機関(貴施設)から委託されて実施する機関です。出入国在留管理庁の登録を受け、登録は5年ごとの更新制です。

委託できる支援の中身は法令で決まっています。特定技能基準省令が定める 義務的支援は10類型 で、支援計画にはそのすべてを記載します。

# 義務的支援の類型
1 事前ガイダンス(在留資格認定証明書の交付申請前の情報提供)
2 出入国する際の空港等での送迎
3 適切な住居の確保に係る支援、銀行口座の開設・携帯電話の契約など生活に必要な契約に係る支援
4 生活オリエンテーション(生活一般、届出等の手続、相談・苦情の連絡先、医療機関、防災・防犯、法的保護の6分野)
5 公的手続等への同行その他の必要な支援
6 日本語を学習する機会の提供
7 相談または苦情への対応
8 日本人との交流の促進に係る支援
9 非自発的離職時の転職支援
10 支援責任者または支援担当者による定期的な面談、行政機関への通報

出典: 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領(別冊)」

押さえておきたい前提が3つあります。

第一に、支援は「全部」を委託する形が原則です。 一部だけを行うものとして登録を受けることはできず、複数の機関に分けて委託することもできません。

第二に、再委託はできません。 委託を受けた機関が業務をさらに別の会社へ丸ごと投げることは認められていません(通訳者などを履行補助者として使うことは可能です)。

第三に、義務的支援は選択肢ではありません。 運用要領別冊は、その全てを行わなければ支援計画を適正に実施していないことになる、と明記しています。

つまり、10類型は各社共通です。見積書の金額差は、どこまでの密度で、誰が、何語で、いつ対応するかの差です。

委託しても、受入機関の責任は消えない

ここが最も誤解されている点です。入管法第2条の5第5項は、支援計画の全部を委託した場合、受入機関は基準に適合するものと「みなす」と定めています。ただし、みなされる範囲は 支援体制に関する基準に限られます。

残る責任は、たとえば次のとおりです。

  • 定期届出 — 毎年5月31日までに、前年4月1日から当年3月31日までの受入れ・活動・支援実施状況を届け出ます
  • 随時届出 — 雇用契約の変更・終了、支援計画の変更、委託契約の締結・変更・終了などは、事由の発生から14日以内に届け出ます
  • 介護分野特定技能協議会への加入 — 加入義務は 受入機関側 にあります。令和6年6月15日以降は、初めての受け入れでも在留諸申請の際に構成員であることの証明書が必要です(入会費・年会費は無料)

さらに運用要領別冊は、全部を委託しても、その登録支援機関の体制からして実効性ある支援を行うことができないと認められるときは 、適正な実施が確保されているとは言えない旨を示しています。

委託先の選定を誤った結果は、受入機関に跳ね返ります。

見るべき5つの視点

そのうえで、比較の軸を5つに絞ります。

視点 法令が求める最低ライン 確認したいこと
① 登録の実在と有効性 出入国在留管理庁の登録、5年ごとの更新 登録支援機関登録簿に載っているか。登録番号・登録年月日・支援を行う事務所
② 支援を担う体制 支援責任者・支援担当者の選任、支援実績等の要件 誰が担当するか。対応可能言語。事務所から自施設までの距離
③ 中立性 受入機関の役員の親族や、過去5年以内の役員・職員は支援責任者になれない 支援の相手は誰か。受入機関から独立して本人の相談を受けられる立場か
④ 費用の透明性 委託契約時に支援業務の費用の額と内訳を示すこと 内訳が出てくるか。義務的支援の費用を本人に負担させない設計になっているか
⑤ 日本語支援の中身 「学習する機会の提供」まで 情報提供で終わるのか、継続的な運用があるのか

① 登録の実在は、登録簿で確かめられる

出入国在留管理庁の登録支援機関登録簿は誰でも閲覧でき、2026年7月9日現在で11,448件が登録されています。載っているのは、登録番号、登録年月日、名称、住所、代表者氏名、支援を行う事務所、支援業務の内容と実施方法、相談に応じる体制の概要(対応可能言語)などです。

⚠ ただし、登録簿に「対応分野」の欄はありません。 介護に強いかどうかは、各機関に直接尋ねる領域です。

② 誰が担当するかを、名前で聞く

登録要件には支援責任者・支援担当者の選任と、支援実績や生活相談業務の経験に関する要件があります。それを満たすのは前提として、実務では 契約後に誰が自施設を担当するのか が効きます。

対応可能言語も登録簿でわかりますが、「対応可能」と「夜間に本人からLINEが来たとき当日中に返せる」は別の話です。支援は平日9時から17時のあいだにだけ起きるわけではありません。

③ 中立性は、法令が具体的に定めている

施行規則は、これを登録拒否事由として定めています。受入機関の役員の配偶者・2親等内の親族、過去5年間にその役員・職員であった者は、当該受入機関から委託を受けた支援業務の支援責任者になれません。

形式要件に見えますが、支援の本質に関わります。苦情の相手が施設だったとき、支援責任者が施設側の人間では、相談は成立しません。

④ 費用は、内訳を出せることが要件になっている

委託契約の締結に当たり費用の額および内訳を示すこととしていない者は、登録拒否事由に当たります。内訳を出すこと自体が、法令上の要求です。 運用要領は受入機関側にも、複数の登録支援機関から見積りをとるなど支援内容を十分に確認したうえで契約するよう 促しています。相見積もりは、公式に推奨されている手順です。

なお、義務的支援に要する費用は、直接・間接を問わず本人に負担させられません。

⑤ 日本語支援は、最低ラインと上乗せの差が最も出る

「日本語を学習する機会の提供」について、法令が求めているのは次のいずれかの方法です。

  • 地域の日本語教室や認定日本語教育機関の入学案内の情報提供と、手続の補助
  • 自主学習用の教材やオンライン講座の情報提供と、入手・契約手続の補助
  • 本人との合意のもと、登録日本語教員等と契約して講習の機会を提供すること

つまり、求められているのは「機会の提供」までで、到達水準(N3合格など)の規定はありません。 入学金・月謝・教材費の負担も任意的支援の扱いです。

一方で運用要領は、習得状況に応じた適切かつ継続的な学習の機会を提供していくことが必要である、とも記しています。この「最低ラインと必要性のあいだ」に、各機関の考え方が最も表れます。

現場では ── 介護施設が追加で確かめること

介護では、これに加えて確認したいことがあります。

協議会と訪問系サービス。 加入時期のルールは令和6年6月15日に変わり、初回受け入れでも在留諸申請の時点で証明書が要ります。訪問系サービスに従事させる場合は別途の要件確認が必要です。この段取りを現行の制度で説明できるかは、その機関が介護分野を継続的に見ているかの手がかりになります。

記録と申し送り。 介護の仕事は、身体介護そのものよりも、記録・申し送り・報告の日本語でつまずきます。日常会話ができることと、ヒヤリハットを書けることは別の能力です。支援の設計がここに届いているかを聞いてください。

日本語学習の伴走について。 私たちは、学習アプリ「Japany」による毎日の学習、月1回の模擬試験と得点推移の管理、グループLINEに届く学習報告への当日中の返答、遅れている人への個別の声かけを回しています(日本語学習の伴走)。法令上の義務的支援を超えた部分です。ただし、これで合格や在留資格の変更を保証するものではありません。

続けているのは、伴走しなかった場合に何が起きるかを見ているからです。日本語が伸びないまま放置され、記録が書けず、本人が自信を失う。

今日から確認できる3点

見積書を前に、次の3点だけでも確かめてみてください。

  1. 登録簿に載っているか。 登録番号・登録年月日・支援を行う事務所を照合する
  2. 費用の内訳が出てくるか。 総額だけの提示なら内訳を求める。これは法令上の要求であり、遠慮は要らない
  3. 契約後に誰が担当するか、名前と連絡手段を聞く。 何語で・どの時間帯に本人の相談へ対応するかも確認する

まとめ

義務的支援10類型は各社共通で、差が出るのはその運び方です。そして全部を委託しても、届出と協議会加入、委託先選定の結果は受入機関に残ります。

登録支援機関を選ぶことは、業者を選ぶことではありません。これから同じ職場で働く人の、来日後の数年間を誰と支えるかを決めることです。

制度の全体像は特定技能制度とは(介護事業者向け)、なぜ今この選択が必要かは介護の人手不足はなぜ終わらないのかをご覧ください。私たちの支援の範囲は受入支援にまとめています。

判断に迷われたときは、受け入れのご相談からお声がけください。他社の見積書を持ち込んでいただいても構いません。

※本記事は公表資料をもとにした一般的な目安であり、個別の案件の可否を判断するものではありません。制度は改正されることがあります。最新かつ正確な内容は出入国在留管理庁および厚生労働省の公式情報でご確認ください。

まずは、受け入れのご相談から。

制度のことから、どんな人財が来るのかまで。介護の現場を知る立場で、御社に合った受け入れをご提案します。

受け入れのご相談 →