人手不足

介護の人手不足はなぜ終わらないのか|数字で見る現在地

求人を出しても、応募が来ない。

来ても、面接に現れない。採用できても、一年もたなかった。 ——この数年、介護の事業所からいちばんよく聞くのが、この話です。

私たちは、愛媛県松山市でグループホーム・デイサービス・居宅介護支援を運営する株式会社大将が母体の、介護分野に特化した登録支援機関です。自分たちも同じ現場で、同じシフト表を前にしています。

この記事では、まず人手不足がどれくらいの規模の話なのかを公表データで確認し、そのうえで事業者が現実に選べる打ち手を整理します。精神論ではなく、数字と選択肢の話をします。

1. 数字で見る現在地

厚生労働省が第9期介護保険事業計画をもとに公表した、介護職員の必要数の推計は次のとおりです。

年度 必要と推計される介護職員数 2022年度からの増加
2022年度(実績) 約215万人
2026年度 約240万人 約25万人
2040年度 約272万人 約57万人

出典: 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」(2024年7月公表)

2022年度からの4年間で約25万人。年あたり6万人以上を、業界全体で増やし続けなければ追いつかないという規模です。一方で、介護関係職種の有効求人倍率が全職業の平均を大きく上回る状態が続いていることは、厚生労働省の資料でもくり返し示されています。

つまり、求人票の書き方を工夫しても、そもそも採用できる人の絶対数が足りていない。応募が来ないのは、貴施設の努力不足ではなく、市場の構造です。

数値は公表時点のものです。最新の推計・統計は厚生労働省の公表資料でご確認ください。

2. なぜ「募集を増やす」では解けないのか

人手不足の議論は、しばしば「採用を頑張る」に着地します。しかし上の数字が示しているのは、日本人の求職者を奪い合う競争は、今後さらに厳しくなるという一点です。

構造を分解すると、事業者が動かせる変数は3つしかありません。

  1. 辞めない(定着) — 今いる職員が続けられる状態をつくる
  2. 省く(生産性) — ICT・記録の効率化などで、必要な人手そのものを減らす
  3. 入口を広げる — 日本人の求職者以外に、採用の母集団を持つ

1と2は多くの事業所がすでに手をつけています。手つかずのまま残りやすいのが3です。そして3の現実的な選択肢が、外国人財の受け入れです。

ここで一点だけ、先にお伝えしておきたいことがあります。受け入れは「頭数を足す」施策ではありません。一緒に夜勤に入り、同じ申し送りを読む同僚を迎えることです。この前提が抜けたまま人数だけを追うと、後述するつまずきがほぼそのまま起こります。

3. 外国人財は「最後の手段」ではない

外国人財の受け入れというと、「日本人が採れないから仕方なく」という文脈で語られがちです。私たちは、その理解は実態と違うと考えています。

在留資格「特定技能」で働く方は、来日前に試験を通過してくるケースがほとんどです。介護分野であれば、介護技能評価試験と、日本語能力(N4相当)および介護日本語評価試験が要件です。技能実習2号を良好に修了した方は、これらの試験が免除されます。

つまり、試験を通過しているか、技能実習2号を良好に修了しているか——制度の側で一定の準備を経た人が働き始める設計になっています。特定技能は建前上、即戦力として迎える制度だからです。

一方で、受け入れがうまくいかない事業所も確かにあります。私たちが関わってきた範囲では、その原因は人財の側ではなく、受け入れ側の準備と、来日後の伴走の有無にあることがほとんどでした。

  • 日本語が伸びないまま放置され、記録が書けず、本人が自信を失う
  • 生活の困りごと(役所、病院、家賃、送金)を相談する先がない
  • 日本人スタッフ側に、受け入れの目的や役割分担が共有されていない

いずれも、制度そのものの問題ではなく運用の問題です。裏を返せば、あらかじめ手を打てる領域だと私たちは考えています。

4. 事業者が今日から確認できる3点

受け入れを検討し始める段階で、まず自施設について確認していただきたいのは次の3点です。

① 何を任せる予定か、業務単位で書き出せるか 特定技能「介護」で従事できる業務には範囲があります。「人が足りないから何でも」ではなく、身体介護を中心にどの業務を担ってもらうかを先に言語化しておくと、その後の判断がぶれません。

② 夜勤・人員配置の運用をどう考えるか 配置基準の数え方や夜勤の可否は、受け入れ後の運用に直結します。ここを曖昧にしたまま採用計画を立てると、入職後にシフトが組めません。

③ 日本語学習を、誰がどう支えるか 来日時点の日本語力は、あくまでスタート地点です。来日後に伸ばす仕組みを持っているかが、その後の定着と、任せられる業務の幅を大きく左右します。私たちが日本語学習の伴走にもっとも力を入れているのは、この一点が現場の成否を決めると考えているからです。

→ 私たちの日本語学習の伴走の中身は教育・研修のページで詳しくご説明しています。

5. まとめ

  • 介護職員は2026年度に約25万人、2040年度に約57万人の増加が必要と推計されている(厚生労働省)
  • 年6万人以上のペースが求められる規模であり、採用の努力だけで埋まる差ではない
  • 事業者が動かせるのは「定着」「生産性」「採用の入口」の3つ。手つかずになりやすいのが入口
  • 外国人財の受け入れは、来日後の伴走を設計できるかで結果が変わる

人手不足は、来年には解決しません。だからこそ、5年先のシフト表を前提に、今から手を打つことに意味があります。

制度の全体像から知りたい方は、続けて特定技能制度とは(介護事業者向けの入門)をお読みください。

自施設の場合はどうなるか、という段階のご相談も歓迎しています。まだ受け入れを決めていない段階で構いません。受け入れのご相談からお気軽にお声がけください。

※本記事は公表資料をもとにした一般的な目安であり、個別の案件の可否を判断するものではありません。制度は改正されることがあります。最新かつ正確な内容は出入国在留管理庁および厚生労働省の公式情報でご確認ください。

まずは、受け入れのご相談から。

制度のことから、どんな人財が来るのかまで。介護の現場を知る立場で、御社に合った受け入れをご提案します。

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