特定技能

特定技能制度とは|介護事業者が判断に使う骨格だけ解説

「特定技能」という言葉は聞いたことがある。でも、技能実習と何が違うのかと聞かれると、答えられない。

——初めて受け入れを検討される事業者様から、よくいただくご質問です。

制度の全体像は、条文や運用要領まで含めると膨大です。この記事では、介護事業者が受け入れの可否を判断するために必要な骨格だけに絞ってご説明します(2026年7月時点の制度を前提としています)。

私たちは、愛媛県松山市でグループホーム・デイサービス・居宅介護支援を運営する株式会社大将が母体の、介護分野に特化した登録支援機関(登録番号 23登-008978)です。自分たちも介護の現場を回しているので、「制度としてはこうだが、現場ではこうなる」という部分もあわせてお伝えします。

1. 特定技能とは、ひとことで言うと

人手不足が深刻な産業分野で、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れるための在留資格です。2019年に創設されました。

ポイントは、最初から「働く人」として来日するという点です。ここが、後述する技能実習との最大の違いになります。

介護は、この特定技能の対象分野のひとつです。

2. 技能実習との違い(いちばん誤解が多いところ)

技能実習 特定技能1号
制度の目的 技能の移転による国際貢献 人手不足の分野の人財確保
位置づけ 実習 就労
転職 原則不可 同一分野内で可能
支援の担い手 監理団体 登録支援機関(または受入機関自身)

出典: 出入国在留管理庁「特定技能」(制度の概要介護分野)、厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」(2026年7月時点)

制度の目的が違うため、現場での考え方も変わります。技能実習が「教える対象」であるのに対し、特定技能は同じ職場で働く同僚です。

そして実務上とくに重要なのが、同一分野内であれば転職の道がある(所定の手続きが必要です)という点です。受け入れれば自動的に定着する制度ではありません。働き続けたいと思える職場であることが、結果に大きく影響すると私たちは考えています。

3. 介護で受け入れるとき、本人に求められる要件

介護分野の特定技能1号では、来日の時点で本人が次の試験に合格しているケースがほとんどです(技能実習2号を良好に修了した方は、これらの試験が免除されます)。

  1. 介護技能評価試験 — 介護の技能
  2. 日本語能力試験N4以上など — 生活・業務に必要な日本語
  3. 介護日本語評価試験 — 介護の現場で使う日本語

つまり、技能と日本語の両方について、来日前に一定の水準を通過した人が来ます。「日本語がまったく通じない人が来る」というイメージをお持ちの方もいらっしゃいますが、制度の設計としてはそうではありません。

ただし、N4はあくまで出発点です。記録を書く、申し送りをする、ご家族と話すといった業務に届くまでには、来日後の学習が欠かせません。私たちが日本語学習の伴走を最重視しているのは、この差を埋めることが定着と任せられる業務の幅に大きく影響すると考えているからです。

出典: 出入国在留管理庁「介護分野」、厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」(2026年7月時点)

4. 受け入れる事業所の側に生じる義務

受け入れ機関(貴施設)には、支援計画をつくり、実行する義務があります。内容は法令で定められており、大きく次のような項目です。

  • 事前ガイダンス、出入国時の送迎
  • 住居の確保、生活に必要な契約の支援
  • 生活オリエンテーション、公的手続きへの同行
  • 日本語学習の機会の提供
  • 相談・苦情への対応
  • 日本人との交流の促進
  • 転職支援(受入側の都合で雇用を終了する場合)
  • 定期的な面談、行政機関への通報

これらを自社で行うことも可能ですが、専任の体制が必要です。**この支援の実施を委託できる先が「登録支援機関」**です。私たちもその一つとして登録を受けています。

義務的支援の全体像と、私たちがそこに何を上乗せしているかは受け入れ支援のページで整理しています。

5. 介護に特定技能2号はありません(現時点・長期就労のルート)

「特定技能2号になれば長く働けると聞いた」というご質問をよくいただきますが、2026年7月時点では、介護分野は特定技能2号の対象分野とされていません。

理由は、介護には以前から**在留資格「介護」**という別のルートがあるためです。介護福祉士の国家資格を取得し、所定の要件を満たして手続きを行えば在留資格「介護」へ変更でき、更新を続けることで長期の就労が可能になります。

出典: 出入国在留管理庁「介護分野」「在留資格「介護」」(2026年7月時点)。※対象分野の範囲は変更されることがあります。

つまり、介護における長期就労の道筋は次のようになります。

特定技能1号(通算5年)→ 介護福祉士の資格取得 → 在留資格「介護」

ここで効いてくるのが、やはり日本語です。介護福祉士の国家試験は日本語で行われます。来日直後から学習を積み上げているかどうかは、5年後に選べる道の広さに大きく関わります。受け入れを「5年間の欠員対策」と捉えるか、「5年かけて中核人財とともに働く」と捉えるかで、打つべき手はまったく変わります。私たちは後者をおすすめしています。

6. 検討を始める前に決めておきたいこと

制度の理解と並行して、自施設について整理しておくとその後がスムーズです。

  • 任せる業務の範囲(身体介護を中心に、どこまでを担ってもらうか)
  • 夜勤・人員配置の考え方(運用に直結します)
  • 受け入れ後に日本語学習を誰が支えるか
  • 日本人スタッフへの説明(目的と役割分担の共有)

私たちが受け入れ前のご相談でうかがう主な点も、この4つです。ここが決まっていれば、制度の細部は後から詰められます。

まとめ

  • 特定技能は、人手不足分野で「働く人」として受け入れる在留資格
  • 技能実習と違い、位置づけは就労。転職も可能——選ばれ続ける職場であることが前提になる
  • 介護では、来日前に技能・日本語の試験を通過した人が来る。ただしN4は出発点
  • 受け入れ側には支援計画の義務がある。委託先が登録支援機関
  • 現時点で介護に2号はない。長期就労は**介護福祉士 → 在留資格「介護」**のルート

そもそも人手不足の全体像から確認したい方は、介護の人手不足はなぜ終わらないのかもあわせてご覧ください。制度の比較を図で見たい方は特定技能とは(制度ページ)へどうぞ。

「うちの規模でも受け入れられるのか」といった段階のご相談も承っています。受け入れのご相談からお気軽にどうぞ。

※本記事は公表資料をもとにした一般的な目安であり、個別の案件の可否を判断するものではありません。制度は改正されることがあります。最新かつ正確な内容は出入国在留管理庁および厚生労働省の公式情報でご確認ください。

まずは、受け入れのご相談から。

制度のことから、どんな人財が来るのかまで。介護の現場を知る立場で、御社に合った受け入れをご提案します。

受け入れのご相談 →